※テクノ不安症

 

 

『クソ曲wwwww』

『1:45からパクり!!』

『なんかちょっとね…』

『シリーズ曲マダー?』

『また変わった?』

『ないわwwwwwww』

 

喧々囂々

喧々諤々。

 

そんなコメントが

動画の中を埋め尽くし、

流れて流れて止まらない。

再生数が増えれば

批判も荒らしも比例して

増えていく。

 

あぁあ。こうやって

画面を見ている間にも

誰かさんが再生して

誰かさんが書き込んで

誰かさんがため息ついて

誰かさんが笑ってんだろうな。

 

そんなこと前から

知ってたけどさ、

知るのと経験するのとじゃ

やっぱ違うんだな。

 

そういえば昔見た映画で

そんなことを言ってた気もする。

けど映画とは違うのは

再生不可能、

取消不可能ってこと。

 

それが当たり前だと

頭の中で自分が呟くけれど

その言葉さえ

うざったく思えるね。

 

なんかもうさぁ、

嫌なんだよ。

最低の気分だ。

 

個人の自己満足と

自慢の塊で出来たような

動画サイトの癖にさ、

一歩違うものを載っけただけで

批判、中傷、

荒らしばっかだよ。

 

そりゃ挙げた自分も悪い。

自分だって自己満足のために

挙げていたようなものだし、

『そうなることが

あるかもしれない』という事を

知った上で挙げたんだから

責任は俺に常にある。

こんな風に愚痴を言う

立場なんか無い。

 

けどさぁ、

なんかさぁ、酷いよなぁ。

俺に愚痴を言う立場が無いように

批判する人にも何かの権利は

無いんじゃないか?

 

例えばさ、

 

『*****ね』

 

なんてさぁ、

そんな言葉だけは、

言う権利は

ないんじゃないか?

 

自己満足の曲に

これだけの事を

言われる筋合いなんて、

俺の人生全てを

否定されるだなんて、

そんなこと、

そんな馬鹿げた話が、

あってたまるかよ。

 

喧々囂々

喧々諤々。

 

コメントは止まらない。

白い文字は止まらない。

 

あぁあ、やってらんないよ。

あの頃の自分は何処いった?

あの頃の曲は何処いった?

あの頃の皆は何処いった?

 

いや、何よりも。

あの頃の楽しさは何処いった?

 

あーあ、どうやら、

忘れたっぽいね。

 

頭の中で自分が呟く。

それが辛くて悔しくて

聞きたくなくて、

震える手で頭痛しか

起きない頭を抱えて

ゆっくりゆっくり

意識を失っていった。

 

 

あぁ、でも、

遠くで誰かさんの

笑い声とギターの音が

聞こえた気がした。

 

なんかあの日を思い出してさ、

懐かし過ぎて

泣きたくなったよ。